10. MINO SOIL ② 「モノ」に走り、失いかけたもの
- Eriko Tsuchida
- 2025年12月8日
- 読了時間: 4分
〜 なぜ私たちは、2回目に失敗したのか 〜
フィロソフィー
・美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける
・土と食を探求し、土の都・美濃に貢献する
お疲れ様です。
前回は、MINO SOILの1回目が、私たちに「土から語れ」という100%の確信を与えてくれた、という話をしました。
あれほどの成功体験をしたのですから、当然、2回目の企画が動き出したのです。
しかし、今日はその「失敗」について、話しをしたいと思います。
回収を焦り、「モノ」に走った2回目
MINO SOILは、元々3年計画の補助金事業として計画されていました。 1回目があれだけのインパクトを与えたので、私たちは当然、2年目も実施する流れになりました。
そこで私たちが計画したのは、「アートピース」の展示です。 建築家やデザイナーの方々に、美濃の土を使ったアート作品を作ってもらい、それを展示する。つまり、1回目が「土」という概念そのものだったのに対し、2回目は具体的な「モノ」へと焦点を移したのです。

今思えば、経営者として「どこかでマネタイズしなければ」という焦りがありました。あれだけのお金を使ったのだから、回収できる「モノ」にしたかった。それが本音です。
展示は西麻布にあるカリモクのショールームを借りて行い、それなりに人も来てくれました。しかし、私を含め、1回目を体感したスタッフの誰もが、あの時のような熱量やインパクトを感じることはできませんでした。
それはなぜなのか。
私たちは、1回目に掲げた「土という概念を伝える」という最も重要な問題提起から、ズレてしまったからです。
失敗から得た、本当の「確信」

当時、チーム内からは「モノにすべきじゃない」という反対意見も出ていました。広報担当の竹形さんなどは、最後まで「2回目をやるべきではない」と主張していました。私も、心のどこかで「そうではないか」と感じていましたが、結局は「モノ」にする道を選んでしまった。
そして、その失敗によって、私たちは一つの真理に気づかされました。 2回目をやったからこそ、1回目の「土から伝える」というコンセプトが、いかに正しく、尊いものだったかを理解できたのです。これが、この失敗から得た、最大の「成功」かもしれません。
私たちは、1回目の展示を大阪や九州など、全国で巡回させ、もっと多くの人に「土の物語」を伝えるべきでした。まだ伝わりきっていないのに、スケジュールを優先し、形骸化した2回目へと進んでしまった。それが私たちの間違いだったのです。
この経験は、私に大きな教訓を与えてくれました。 「回収を焦って本質を見失ってはいけない」 「物事を『モノ』にするべき時と、そうでない時の『仕分け』を絶対に間違えてはならない」と。
未来への「資産」として
結果として、私たちは3回目のプロダクト化には進まず、2回目でこのプロジェクトを止めました。 そして、その代わりに何を選んだか。
1回目のMINO SOILを「変わらない基準」として保全し、そのコンセプトである「土を語る」というオペレーションを、愚直にやり続けることを選んだのです。
今、THE GROUND MINOにあるあの展示は、単なるアーカイブではありません。 あれは、私たちが「土を大切にし、持続可能な窯業を目指す」という理念を語る上で、圧倒的な説得力を持たせるための「資産」です。 特に、環境やサーキュラーエコノミーを真剣に考える企業や建築家の方々には、このストーリーは120%刺さります。
これとよく似た話が、実は古道具の世界でもあるんです。
古道具の世界でカリスマと呼ばれた、故・坂田さんという方が16年前に手がけた展示が、最近そのまま倉庫から見つかって、今ものすごく再評価されています。
私は、ビジョイ・ジェインが手掛けたあのMINO SOILの展示も、いつか必ずそうなると信じています。
あの展示を私たちが今も大切に保存し続けていること。 いつかビジョイ本人がTHE GROUND MINOを訪れ、「君たちは、あの時のコンセプトを今もやり続けているんだな」と共感してくれる日が来るかもしれない。そしてその時、私たちの「失敗」は、未来に繋がる本当の「価値」へと昇華されるのだと思っています。
井澤コーポレーション/ ART HOME DESIGN フィロソフィー
このブログで語られる私たちの挑戦は、すべてこのフィロソフィーに基づいています。
【PURPOSE】
うつわの可能性をひろげ、五感で味わう食文化をつくる
【VISION】
井澤コーポレーション
産地と食卓をつなぐ、セラミックプロデュースカンパニー
ART HOME DESIGN
産地と食卓をつなぐ、セラミックデザインカンパニー
【MISSION】
井澤コーポレーション
For Customer:美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける
For Industry:作り手と使い手の接点を増やし、産地に貢献する
For Society:当たり前を塗り替え、持続可能な窯業を確立する
For Employment:物心の幸福を追求し、働きがいのある環境を創る
ART HOME DESIGN
土と食を探求し、土の都・美濃に貢献する
時代を読み解き、世界との多面的なつながりをつくる
産地と世界から着想し、デザインで食文化を創造する
【VALUES】
to Think:美味しいを哲学する
to Communicate:質から逃げない
to Make:心と言葉を尽くす
to Live:暮らしを楽しむ




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