14. 軽量食器 ② 軽量食器の秘密
- 1月14日
- 読了時間: 4分
更新日:1月15日
〜 美濃の土と技術が生んだ「機能」 〜
フィロソフィー
■美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける
■作り手と使い手の接点を増やし、産地に貢献する
■当たり前を塗り替え、持続可能な窯業を確立する
お疲れ様です。
前回は、軽量食器がお客様の生活をどう変えたかという話をしました。 今回は、少し視点を変えて「モノづくり」の裏側の話をします。
なぜ、美濃でしかこの軽量食器は作れないのか?
ただ「軽い器」だと思われがちですが、実はその中身は、素材選びからコンマ単位の形状設計まで、緻密に計算された「ハイテク製品」なのです。

中国の工場が「ギブアップ」した理由
過去に、ある中国の工場がこの商品の生産に挑戦したことがありました。見た目を真似て、薄く形を作るところまでは彼らもできました。
しかし、量産化はできませんでした。 窯で焼くと、ぐにゃっと歪んでしまったり、まともに商品になる確率(良品率)が低すぎたりして、ビジネスにならなかったのです。 世界の工場と言われる中国の拠点ですら、この「薄くて、大きくて、歪まない器」を安定して作ることは不可能でした。
彼らに無くて、私たちにあったもの。 それが、美濃という土地が持つ最強の武器、「蛙目粘土(がいろめねんど)」です。
美濃にしかない「粘り」と「コシ」

この地方で採れる「蛙目粘土」には、他にはない大きな特徴があります。 それは、ものすごく粘り気が強く、「コシ」があること。
薄く伸ばしても生地が切れにくく、焼成時に形状を記憶する力が強いため、熱による歪みに強いのです。
通常、焼き物は薄く大きくすればするほど、焼く時にへたってしまいます。 しかし、この蛙目粘土をベースにしているからこそ、あの薄さを保ちながら、ピシッとした美しい形を維持できる。 今では有田焼など他の産地でも、この粘土をわざわざ取り寄せてブレンドするケースがあるほど、焼き物作りには欠かせない「要(かなめ)」の素材です。
薄いのに割れない「秘密のレシピ」

もちろん、「薄いとすぐに割れるのでは?」という疑問もあるでしょう。 ここにも、明確な解決策があります。
1. 強度が高くなる原料をブレンド
実はこの生地には、「強度を高める原料」が混ぜてあります。 ただ、この原料は扱いが難しく、普通に混ぜると焼く時に縮んで割れてしまいます。そこで原料メーカーが、蛙目粘土との「黄金比率」を導き出し、「薄くて強度が高い」という独自の配合を確立しました。 これは、一朝一夕には真似できないノウハウです。
2. 物理的に守る「形」
そして、断面の形にも工夫があります。 全体を均一に薄くするのではなく、一番ぶつかりやすい「縁(ふち)」の部分だけ少し厚みを持たせ、内側に向かって薄くしています。
物理的に欠けにくくしつつ、持った時のバランスも良くする。意匠と機能を両立させた設計です。
全てのピースがハマって、初めて完成する
歪みを防ぐ、最強の土「蛙目粘土」
強さと薄さを両立させる「秘伝のレシピ」
物理的に守る「形状設計」
そして、効率よく生産する「特殊な釉薬」
これら全ての要素が美濃という産地で揃い、職人たちの手でパズルのように噛み合って初めて、この軽量食器は完成します。 一つでも欠ければ、歪むか、割れるか、作れない。
だからこそ、他国がコピーしようとしても不可能だったのです。
美濃の技術の結晶として
このブログを読んでくれた皆さんには、ぜひ改めて、プロダクトとしての軽量食器を観察してみてほしいと思っています。 その軽さは、偶然できたものではなく、美濃の素材と技術を論理的に積み上げた結果です。
これは単なる「安くて便利な器」ではありません。 美濃焼の技術力が凝縮された、世界に通用するプロダクトです。
お客様に提案する際、その背景にある「理屈」や「技術」を少し添えるだけで、その器の価値は大きく変わります。 私たちは、そうした「確かな価値」を扱っているのだということを、ぜひ知っておいてください。
井澤コーポレーション/ ART HOME DESIGN フィロソフィー
このブログで語られる私たちの挑戦は、すべてこのフィロソフィーに基づいています。
【PURPOSE】
うつわの可能性をひろげ、五感で味わう食文化をつくる
【VISION】
井澤コーポレーション
産地と食卓をつなぐ、セラミックプロデュースカンパニー
ART HOME DESIGN
産地と食卓をつなぐ、セラミックデザインカンパニー
【MISSION】
井澤コーポレーション
For Customer:美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける
For Industry:作り手と使い手の接点を増やし、産地に貢献する
For Society:当たり前を塗り替え、持続可能な窯業を確立する
For Employment:物心の幸福を追求し、働きがいのある環境を創る
ART HOME DESIGN
土と食を探求し、土の都・美濃に貢献する
時代を読み解き、世界との多面的なつながりをつくる
産地と世界から着想し、デザインで食文化を創造する
【VALUES】
to Think:美味しいを哲学する
to Communicate:質から逃げない
to Make:心と言葉を尽くす
to Live:暮らしを楽しむ


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