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23. 新宿伊勢丹に繋がった本当の理由

  • 5 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:5 日前

〜  なぜ「遠回り」が、最高峰の扉を開く鍵となったのか  

フィロソフィー

美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける

■作り手と使い手の接点を増やし、産地に貢献する    

お疲れ様です。

今回は、先日新宿伊勢丹で行った「THE MINO 地層」の展示販売について、改めて振り返ってみたいと思います。会期中、私自身も売り場に立ち、行き交う多くのお客様の姿や、作品を前に足を止める方々の表情を観察していました。


今回の試みは、人間国宝の先生方が手がける最高峰の伝統工芸から、これからの産地を担う若手作家による生活工芸までを、一つの空間に網羅して展示するというものでした。本来、美術画廊で扱われるような作品と日常使いの生活工芸作家の作品が同じ売り場に並ぶことは、業界の常識ではあまりないことです。


異なる価値観がひとつの空間で共鳴し合っている様子は、私にとっても非常に新鮮な情景でした。

この前代未聞とも言える座組が実現した原点は、私たちが地道に育ててきた「THE GROUND MINO」にあります。


伊勢丹展示のきっかけ


きっかけは、伊勢丹のトップバイヤーたちが実際に美濃へ足を運んでくれたことでした。私たちの拠点を訪れ、そこにある取り組みや産地への想いを目の当たりにした彼らは、「井澤となら、これまでにない面白い企画ができる」と確信してくれたそうです。結果として、複数のバイヤーがこの企画に関心を寄せ、熱心にアプローチを重ねてくれるという状況が生まれました。


さらに大きかったのは、普段、簡単には首を縦に振らない産地の重鎮の作家の方々が、私たちの呼びかけに賛同し、大切な作品を預けてくださったことです。


もしこれが「井澤コーポレーションだけの利益のため」であれば、おそらく断られていたでしょう。

「美濃という産地全体を面で見せ、新しいマーケットを切り拓く」という姿勢に共感していただけたからこそ、皆さんが協力してくださったのだと思います。

産地全体を巻き込むような活動は、一見すると目先の売上からは遠回りに見えるかもしれません。しかし、自社の利益だけでなく地域のために動く姿勢が確かな信用となり、結果として百貨店や最高峰の作り手たちを動かす推進力になりました。伊勢丹という舞台でこれだけの展示を実現できたのは、その積み重ねがあったからです。



取り組みの結果とその先


では、実際の展示はどうだったのか。

ここで、皆さんに今回の「THE MINO 地層」結果を共有しておきたいと思います。

数十万円クラスまでの、生活に取り入れやすい作品は動きがあったものの、数百万円という高額な作品については、会期中に売上を立てることができませんでした。不特定多数のお客様が絶え間なく行き交うオープンな空間で、最高峰の芸術品を提案することの難しさを痛感する結果となったのです。

これだけの人数とコストをかけて、数字の上では厳しいのではないか、と感じたメンバーもいるかもしれません。実際に、かかった経費を鑑みれば、この期間中だけの収支は決して楽なものではありませんでした。


しかし、ここでの成果はまだまだ続いている最中です。

例えばそのひとつは、伊勢丹の売り場に「美濃の最高峰」を並べたという事実が、私たちの確かな「履歴」となり、次の扉を開きました。私たちの展示を評価してくれた伊勢丹側が、百貨店を支える特別な顧客層へ向けた「クローズドな場」での新たな企画の場をすぐに用意してくれたのです。


広がる可能性


そしてもうひとつ、思わぬ動きもありました。

先日、四国にお住まいのお客様から「人間国宝の茶碗に興味がある。現物を見たい」というお声が届きました。

今週(5/21時点)、伊勢丹の特別室でおもてなしをしながら、直接私がプレゼンテーションを行うという機会をいただいています。


もしこのご縁が実を結べば、一客で数百万円という売上が立ち、今回のプロジェクト全体の予算を大きく達成することになります。


また、売れる・売れないの結果以上に、美濃のピラミッドの頂点にある作品を仕入れ、世界一の百貨店(伊勢丹)の特別室でお客様に提案できる企業になったこと。これは、今後の私たちにとって“ミシュランの星”を得るに等しい圧倒的な価値であり、誰も簡単に真似できない独自のポジションです。この信用が一度確立されれば、いずれ海外の富裕層マーケットへ美濃のアートを届けることも、当たり前の光景になっていくはずです。


たくさんの種を撒き、未来へ繋げる


私たちは大企業ではありません。大手と同じように、綺麗に頭で考えてから動いていたのでは、到底勝つことはできません。だからこそ、私たちのやり方はいつも「走りながら考える」です。とにかく早く動き、その動きの中で見えてきた課題を修正し、新しい道筋を見つけ出していく。10の試みのうち、1つでもこうした本物の芽が見つかれば、そこから未来の太い一本道が拓かれます。


ふと、内省することがあります。

もし私たちが、リスクを恐れて「ただの産地商社」としての商売だけを続けていたら。

THE GROUND MINOを創ることもなく、アートという未知の領域への挑戦もしなかったら、今頃うちの会社はどうなっていただろうかと。

きっと、何の変哲もない、働いていてもどこか退屈な組織になっていたのではないか、と思うのです。


今、私たちの目の前にある伊勢丹をはじめとする様々なご縁や仕事は、決して偶然降ってきたものではありません。皆さんが日々、目の前の業務に真摯に向き合い、土台を支えてくれているからこそ、私たちはこうした新しい景色を見に行くことができます。


すでに、次なる切り口での企画や、新しいマーケットへの検証も動き始めています。自分たちの現在地と、これまでの歩みに静かな誇りを持ちながら、また一つずつ、共により良い未来へ歩みを進めていきましょう。



井澤コーポレーション/ ART HOME DESIGN フィロソフィー

このブログで語られる私たちの挑戦は、すべてこのフィロソフィーに基づいています。


【PURPOSE】

うつわの可能性をひろげ、五感で味わう食文化をつくる


【VISION】

井澤コーポレーション

産地と食卓をつなぐ、セラミックプロデュースカンパニー


ART HOME DESIGN

産地と食卓をつなぐ、セラミックデザインカンパニー   


【MISSION】

井澤コーポレーション

  • For Customer:美濃焼の可能性を引き出し、物語とともに届ける

  • For Industry:作り手と使い手の接点を増やし、産地に貢献する

  • For Society:当たり前を塗り替え、持続可能な窯業を確立する

  • For Employment:物心の幸福を追求し、働きがいのある環境を創る


ART HOME DESIGN

  • 土と食を探求し、土の都・美濃に貢献する

  • 時代を読み解き、世界との多面的なつながりをつくる

  • 産地と世界から着想し、デザインで食文化を創造する


【VALUES】

  • to Think:美味しいを哲学する

  • to Communicate:質から逃げない

  • to Make:心と言葉を尽くす

  • to Live:暮らしを楽しむ


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